さて、近所のガラクタを詰め込んでサルガッソー状態になっていた
「やなぎ」の蔵の活用を目指して
まずは物置の片付け・掃除から・・・・と迂遠・遠大な計画が進行しているわけです。
蔵の中は読書・視聴覚スペース、図書室、会議室、コーヒールーム・・・等々に
活用できると思うので以前から妄想はしているのですが
現実は厳しくモノが詰まりまくって何も動かん状態に。
平成24年(2012年)第1期工事:母屋=宿泊棟の改修・整備
平成25年(2013年)第2期工事:物干し場の新設・物置の改修
とやってまいりました。
平成26年(2014年)には実は裏の棟の外観補修工事の計画があったのですが
ちょいと裏話をすれば予算が付かずにあの佐々木家と共に落選。
1期、2期と頑張ったもの・・・・今年はいいよ、もういいよ
片付けとかはするとして、まあ、だら〜〜〜っとしていましょ。
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だったんですがね・・・・
この蔵の床板・壁板は栗の木の板なんですよ。
これはこの地域では割と普通らしいんです。
丹波栗の本場だし、硬くて丈夫な栗の木を活用するのは当然。
それにしてもこの幅の板を取ろうとすれば
どれだけの太さの栗の木が何本必要なのか・・・
想像できません。
贅沢なもんです。今では絶対に不可能。
この栗の木の板をどう活用するか?
これは今までの工事の過程で何回かは計画に上がっていて
実際、見積もり・内訳まで進んだ時期もあったのですが
どうもしっくりこない。
なので1,2期工事からははずして自主再生に臨むことに・・・
近所に工房を構えておられるT氏の全面的な協力を得て
平成26年(2014年)5月 床板を剥がすところから
着手しました。
丁寧に慎重に板を剥がします。
古い板なので木自体の油が切れた状態
かつ、打込んである釘もがちがちに錆びていて
剥がし作業は難航します。
今までも何回かは床下を覗いたりはしたのですが
ここまでめくって全体を確認するのはもちろん我々、初めて。
見まわしていくとこの前の改修(おそらく20数年前)で
何をどうやってどういう考えだったのかが
少しづつ判明してきました・・・
隣接する庭から流れる水をどう逃がすか・・・
水が出た時にはどうなるのか・・・
水を逃がすための構造をどう考えたのか・・・
床板と床板の間はどうして隙間だらけだったのか・・・
とにかく、根太が予想以上に劣化していることが判明したので
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これ↑↑↑近所の家の解体に押しかけて
ぶんどってきた根太です。
何かに使えるか?と思い縁側下にストックしておきました。
これが使えるかどうか・・・・?
床板をほぼ全部、剥がした時点でお昼休憩。
近くにミツバチの巣箱を据え付けて
分蜂する群れを誘い込む作戦を展開している所があるので
その様子確認もかねてプチ・ピクニック。
今年は低気温が災いして全国的に新規のミツバチ捕獲は
低調との事。
ここも残念ながら新規ご契約のミツバチ様はいらっしゃらなかったのですが
のんびりとお弁当を食べながら
関係者のミツバチ講和も聞かせて貰えました。
さて、午後。後半戦。
意外な事実が次々と判明・・・・
写真では分かりにくいのですが
床板の上に梯子と扉の桟が乗っている構造なんです。
床板が下にもぐっているとも言います。
梯子はすぐ取り外せますが
この床板を外そうとすれば手前で板をカットするしかないのか?
しかしT氏は意外な方法を提案。
「この扉と桟は簡単に取り外せるんですよ」
えっ・・・・???
そう言われて扉の枠を上から見れば・・・
おお!!コミ栓で差し込んであるのですね!
初めから取り外し・解体、つまりは後々のメンテナンスを
考えての構造なのですね!素晴らしい・・・・!!
床板を切ってしまう方が簡単かもしれませんが
ここはせっかく先人が手配してくれていたのですから
扉の構造全体を解体することに。
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ここでまた新たな問題発生・・・
蔵と言うのは中のお宝を火事・災害から守る役目があるので
(ウチの現在の状況では中にお宝はありませんよ。念のため)
扉が2重構造になっているのですね。
内側の格子扉はがらがら開け閉めしていたのですが
外の漆喰=防火扉は動かなくなっていたので
開けっ放しにしていて、いままで私もそこが
どうなっているか見たことがなかったのですよ。
漆喰扉・裏面
この竹小舞と土壁構造をご覧下さい・・・
「守るぞ!」という決意、といいますか
執念の様なものまで感じざるを得ません・・・
蔵本体の方の壁面。鍵穴ですね。
鍵はもう失われ穴も塞がれていますが。
この重い重い扉をどう動かすか、何処に置くか・・・・?
高さを測り検討を重ねます。
上の写真は偶然の光の入り方でちょっと面白い雰囲気に撮れました。
手だけが伸びてきている様でちょいとホラーチックかな?
古民家にふさわしい画像ですね。
結局、漆喰扉は搬出不可能で内部移動でしのぐことになりました。
今回は防腐処理だけでしのぐのか?
こんな全面的に開ける機会は数十年に1度あるかないかだから
徹底的にやるべきか?
根太の部分差し替えだけで済むのか?
全体をギャッジアップして入れ替えか???
検討を続けますが・・・本日はここまで。
後日、大工の棟梁に検分してもらう約束を取り付けて
終了しました・・・・
「古民家再生」とは最近、よく耳にする言葉です。
一言で「再生」とは言うものの
もちろんその家の状態・構造は各々、全部異なり
同じものは二つとはないわけですから
何か絶対の解決方法があるわけではありません。
ただ、先人は家を建てる前から
その家がいつか解体され再利用される事を前提にして
さまざまなテクニック・構造を張り巡らしています。
現代においてその伝統的な考え・構造を
利用・応用できるのか・・・?
ここら辺が「古民家再生」の醍醐味であり
同時に「めくってみなきゃどうなるかわからん」と言う
恐ろしさでもあります・・・・
と、言うわけで「蔵の中のガラクタの片付け」+「床の張り替え」
位で済むつもりだったのが解体に
驀進しております・・・・
一体、どうなるのだ!!???
・・・・5月14日 現在 とんでもない事態に・・・
待て!次号!!
■兵庫県篠山市福住391番■
素泊まりの「はたご」
古民家ゲストハウス やなぎ
http://www.gh-yanagi.com